【ロマンス経営論 ♯04】
企業ドメイン編 〜恋の領域〜
みなさん、こんにちは。ジョン・エミソンです。今回も、僕のカフェから物語をお届けします。
前回は、バスケットの試合でのサンクの活躍、“ポジショニング"を活かしたプレーから学びを受けました。チーム全体をうまく回すには、まず自分の今立っている場所を理解し、優位な立ち位置(位置取り)を確保しなければなりません。
・・・自分の立ち位置か・・・
そもそも、自分がどんな人間なのか。考えたこともなかったな。
・・・・・ (カラ~ン!caféのドアの開く音)
「ジョン兄さん!企業ドメインって知ってる?
今日、学校の講義で聞いたんだけど、兄さんのドメインを考えるっていうのは、どうかな?
自分の想いや特性を理解し、現在から将来にわたっての人生の旅の方向を示す “生存領域” を設定するんだ。きっと遠回りせずに、素敵なパートナーに出会えるんじゃないかな?!」
「おいおいピーター、いきなりなんだい?
ドメイン? 生存、領域??」
(ピピピ・・・電子音)
「あ、兄さんごめん、モニカと出かけるからまたね!!
それと、今週の金曜日、モニカとサンクの3人で、ここで待ち合わせしてるから、ヨロシク!」
ピーターは元気よく出て行った。ちょうど帰り道だからとは言え、
未だに、子供の頃からクセで[学校での出来事報告]が抜けないようだ。やれやれ。
『・・ドメイン・・・恋の領域、か・・・』
数日が過ぎ、僕はソワソワとしていた。
今日は例の金曜日だ。
ピーター達は何時頃に来るんだ?
サンクさんは試合以外ではどんな感じなのか。服装は?趣味は?コーヒーは好きかな?うちのお店を気に入るかな?
・・・・・ (カラ~ン!caféのドアの開く音)
「いらっしゃいませ・・・」
「こんにちは、ピーターさん達と待ち合わせしています、サンクと言います。」
僕は、まだ心構えができていなかった。声が上ずってしまいそうになったが、気付かれないよう不愛想にカウンターへ案内した。
サンクは本を読んでる。ブックカバーは上品な淡い黄緑・・翠のグラデーション。
恐らく、それから10分ほどでピーター達はやってきた。しかし、落ち着かない僕にはあまりにも長いながい時間に感じられた。
ようやく3人が揃い、ベランダ席へ移った。
僕は緊張もあったが、実は、僕は彼女より背が低いことを目の当たりにして、同様していた。わかってはいたのけど…
ベランダ席に3人のコーヒーを運ぶと、モニカがサンクを紹介してくれた。けど、全くうまく話せない。
僕は気まずくなり、仕事があるフリをしてカウンター内に下がった。
3人は試合の話で盛り上がっているようだ。時間と共にコーヒーを何度か差し替えると、オレンジの陽が店内に差し込んだ。
僕はブラインドを下げて、深呼吸をした。少しだけいつもの自分を取り戻した。やっと夕方になった頃、サンクはバスで帰ると先に店を出た。
すると、ピーターがベランダの席から立ち上がり、カウンター内にいる僕に駆け寄った。
「アレ?本が置いてあるけど…あ、サンクか。モニカに明日、渡して貰えばいいかー。」
と、カウンターに本を置き直した。
「ところで兄さん、せっかく今日はサンクが来てたのに、どうしたのさ…?」
「・・・実は、ピーターに言われてドメインを考えていたんだ。
僕の仕事はカフェ。趣味は写真。外見は標準、身長体重平均的。」
「僕は、サンクとは釣り合わない。共通の仕事も趣味もない。体格に関しては彼女よりも小柄だ。」
「・・・・・兄さん、サンクのこと・・・・
確かに、昔は男性の価値は『靴と時計と車』で決める。と言ってる女友達もいたような気もするけど、僕は、それだけじゃないと思う。
むしろ、長い時間一緒にいるのに必要な価値は、“モノ”ではなく“コト”じゃないかな。
そして兄さんが生涯をかけて提供する。提供したいのは、<モノ=物理>ではなく、<コト=体験>だと思ってるよ。」
ピーターが続けて話す。
「例えば、兄さんの提供するcafé空間とコーヒー。そして趣味の写真。それらの共通点は・・・
『人にホッとする瞬間を提供したい。』
これを必要としている人、賛同してくれる人、一緒に提供してくれる人。
そうゆう人たちを探そうよ。きっと、兄さんの良きパートナーとなるはず。
サンクは、ホッとしたいかもよ? そして、賛同して一緒に『ホッとする』<コト>を探してくれる人かも知れない。
だからまだ、諦めないで、兄さん。」
・・・諦めない。・・・・
その言葉を聞いた瞬間に何故か、サンクを初めて見た時の感情が湧き起こる。
あのシーンと歓声が頭の中で蘇る。
「ありがとうピーター!!!!」
僕は、カウンターに忘れられた彼女の本を掴んで、勢いよくcaféから飛び出し、走り始めた。
『僕は古い考えに囚われていたかも知れない。男性はこうでなくてはいけない。
こうでなきゃ相応しくない。とか、いつもわかりやすいモノや形に拘っていた。
振り返ってみたら、それは新たな出会い、新たな領域へのチャレンジから逃げていただけだ。』
うう、追いつくかわからない、もうバスに乗ってしまったかも!今日じゃなくてもいいかも!変なヤツだと思われるかも!
と、自己保身が頭をよぎる。
それでも、なんとなく今日じゃなきゃ、一生、チャレンジしない、動き出さない人生になる気がして、とにかく無我夢中に走った。
休まず、ひたすら走った。しばらくすると…
背の高い、夕陽が絵になる女性を見つける。
「・・・・・ッ・・・サンク!!!!」
少しうつむきながら歩いていたサンクが顔を上げ、とても驚いている。
サンクさん!忘れ物!!
と言いながら駆け寄ると、サンクはとても美しい笑顔を見せた。
そして、夕陽を背中にした彼女の笑顔は、何よりも優しく眩しかった。
息を切らしながら本を差し出すと、サンクは、おもむろに
「心のオアシス。。」
と呟いた。僕は思わず「…え…?」と聞き返した。
「ジョンさん、この本、心のオアシスと言うポエム本なんです。私みたいなのが、読んでいるのは恥ずかしいから、ブックカバーしていたんです。」
僕は、とっさに前のめりになりながら、
「そんな、恥ずかしくないですよ!サンクさんのような素敵な女性に読まれる本、羨ましいくらいです!」
サンクはクスッと笑ってくれた。
「ジョンさん、今日、ジョンさんのcaféで、私はオアシスを感じました。また行ってもいいですか。」
「もちろんです!僕は、あなたにホッとしてもらうオアシスを提供するのが、天命です!!」
サンクは、また驚いて目を丸くした。そして、2人で顔を見合わせて思わず大笑いした。「大袈裟でしたかね?照笑」
そして、僕は、今だ!と、チャンスを逃さないように!しかし、丁寧に話した。
「僕は、仕事のcaféと、趣味の写真を通じて、人にホッとしてもらえたら嬉しいんです。良かったら、僕のInstagramも見て、サンクさんの意見を聞かせてください。」
「はいっ!よろこんで。」
【 ユーザー名: jon_emison_ 】
こうして、無事に連絡を取る手段、そして、共通の話題ができた。
身長差のコンプレックスは感じてるけど、今は一歩前進した自分を褒めてあげようと思う。
息切れした息が、徐々に整っていった。
少しすると、夕陽の中から、こちらに向かって来るバスが、ゆっくりと大きくなってきた。
「・・・ああ、ゆっくりでもいいんだ。」
それは、僕のロマンス・ドメインが、こうして新たな領域となり、物語がほんの少し、ゆっくりだけと確実に、動きはじめたことを象徴しているように感じた。
僕の新しい恋の領域を走り始めた[sunset bus/サンセットバス]いい響きだ…。
そして、カフェもロマンスも新たなステージへと進んでいくはず。。
『…この恋こそ…Continued next…』
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【企業ドメインとは】
ある企業やビジネスが中心として取り組んでいる領域や活動の範囲を指す言葉です。簡単に言えば、それがどんな「フィールド」で活動しているか、何にフォーカスしているかを示すものです。
【物語内の企業ドメイン】
ジョンが運営するカフェや写真を撮る趣味は、彼の企業ドメインと言えます。カフェは、お客様に心地よい空間や時間を提供することを主要なサービスとしており、写真はその瞬間の美しさや感動をキャッチして共有することを目的としています。
【ドメインの重要性】
企業ドメインを明確にすることで、その企業がどんな価値を提供しているのか、どんなお客様やユーザーに向けてその価値を提供しているのかが明確になります。ジョンのカフェの場合、彼の提供する価値は「ホッとする瞬間」であり、それを求めるお客様が彼のターゲットとなります。
【物語の中のドメインの展開】
ジョンは、サンクという新しい出会いを通じて、彼の企業ドメインをさらに深化・発展させるヒントを得ました。そして、今後の彼女の反応や意見は、彼の提供する「ホッとする瞬間」がどれだけ価値があるのかを再確認させ、成長させることでしょう。
【結論】
企業ドメインは、企業やビジネスの核心的な活動や価値を示すものであり、それを明確にすることでビジネスの方向性やターゲットを明確にすることができます。物語の中でジョンが経験したように、新しい出会いや経験を通じて、そのドメインを再確認・発展させることも大切です。
・・・次回予告・・・
【ロマンス経営論 ♯05】 アンゾフの成長ベクトル 〜恋のマトリックス〜
新しい場所で、いつものことする?いつものところで、新しいことする?
それとも…? 新しい場所で、新しいことする!
(※ 経営論は、時代・業界・企業風土によって、適しているか異なります。その上で、一つの提案として皆さまのご参考になれれば幸いです。)
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